【宝石の見分け方】 鑑別⑧ カラーフィルター検査 【鑑定】

宝石 鑑別

宝石を鑑別する場合に行う基本的な検査の一つであるカラーフィルター検査の方法を解説します。

  • カラーフィルター検査とは
  • カラーフィルター検査に必要な道具
  • カラーフィルター検査のポイント
  • 実際にカラーフィルターを使ってみた

カラーフィルター検査とは

カラーフィルターは赤い光と黄緑の光しか通さない特殊なフィルターです。
その特性を利用して染色処理や特定の宝石を見分ける検査です。

この検査は特にエメラルドを見分ける際に役立ちます。
エメラルドは通常緑色に見えますが、内部にクロムを含んでいるため赤い波長を出しているものが多くあります。
そのためカラーフィルターで確認すると基本的に赤色を示します。(一部例外あり)
クロムを含まない緑色の石は反応を反応を示しませんので区別することができます。

エメラルドとペリドットをカラーフィルターで比較

カラーフィルター検査に必要な道具

ネットでカラーフィルターを検索するといろいろ出てきますが、今回はこの「チェルシーカラーフィルター」を使用します。

ではカラーフィルターについて近山晶先生の宝石宝飾大辞典より引用させていただきます。

引用
エメラルド カラー・フィルター  emerald colour filter

天然エメラルドと模造エメラルド (緑色ガラス製) の鑑別のために考案された透視用フィルターである。
天然と合成エメラルドの識別にも有効であるのみならず、その他の宝石の鑑別にも有用である。
緑色部とその他は完全に吸収し、赤色部と黄緑部の一部のみが透過するように作られてある。
強い白色光線下の検査石をフィルターを通して眺めれば、天然エメ ラルドは暗赤色が暗ピンク色あるいは変化なしであるが、合成エメラルドの多くは鮮赤色を示す。
模造エメラルドは全く変化を示さない。
天然ジェダイトは変化なしであるが、染色ジェダイトは赤色を示す。
各国で種々のものが作られているが、イギリス製のチェルシー・カラー・フィルターが性能が良く、最も多用されている。

宝石宝飾大辞典新訂第3版 著者近山晶氏

カラーフィルター検査のポイント

黄色い光で確認する

ペンライトの黄色い光で確認します。LEDライトの光の場合色の変化がわかりづらい場合があります。
(上がLEDライト 下がペンライト)

目にフィルターを近づけて見る

カラーフィルターは目に近くに置いて宝石をペンライトで照らすように確認します。
光を揺らしたほうが確認しやすい場合もあります。

下は白地が確認しやすい

下地が黒色だとわかりにくい場合があります。
(上が黒のソーティングトレー 下が白のソーティングトレー)

実際にカラーフィルターを使ってみた

それではカラーフィルターを使用して確認した宝石をご紹介します。

緑色の宝石
エメラルド ペリドット グリーントルマリン ツァボライト(グリーンガーネット)
エメラルドとツァボライトに赤色の変化が見られます。

青色の宝石
ブルーサファイア タンザナイト ブルースピネル
タンザナイトとブルースピネルに赤色の変化が見られます。

水色の宝石
アクアマリン ブルートパーズ
アクアマリンには黄緑色、ブルートパーズには赤色の変化が見られます。

赤色の宝石
ルビー 赤いガラス
ルビーに赤色の反応が見られます。

以上「【宝石の見分け方】鑑別⑧ カラーフィルター検査【鑑定】」でした。
最後までお読みいただきありがとうございます。

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