【貴金属の見分け方】①アトK(14K)刻印のトップ【鑑定】
貴金属製品かメッキや張り製品なのかを鑑定します。
今回は14K刻印の緑色の石が中央にセッティングされたペンダントトップです。
![](https://roopekirakira.com/wp-content/uploads/2022/08/20220715_002_14K.jpg)
K14ではなく14Kと刻印されている製品です。Kは基本的に数字の前に表記される事が多いです。
今回は数字の後ろにKついているので、いわゆるアトKです。
アトKの場合はニセモノが多いです。
・アトKとは海外で製造された金製品ですので、純度の信頼性が低いです。
・そもそも金を使用していない場合(メッキや張り製品)があります。
もしヤフオクやネット通販で購入される場合は通常以上に注意が必要です。
鑑定する際の4つのポイント
貴金属製品とメッキや張り製品を見分けるポイントは主に4点です。
- 10倍ルーペで拡大して確認
- 磁石でくっつくかどうかを確認
- 試金石と硝酸を使って確認
- 比重を計測して確認
10倍ルーペで拡大して確認
まずはルーペで全体を確認します。
![](https://roopekirakira.com/wp-content/uploads/2022/08/20220715_003_14K.jpg)
ペンダントトップの場合、ネックレス用のチェーンを通す輪の部分(バチカン)に刻印がある事が多いです。
見当たらない場合は輪の部分の内側や、本体側面や本体裏面を確認してください。
![](https://roopekirakira.com/wp-content/uploads/2022/08/20220715_004_14K.jpg)
14Kの刻印があります。石の重さを表す数字の刻印は見当たりません。
石の重さがちゃんと入っている場合は少しだけ信頼性が上がります。
![](https://roopekirakira.com/wp-content/uploads/2022/08/20220715_005_14K.jpg)
作り(構造)に関しては、よく見かけるシンプルな作りです。石を中心にツメで止めていて光が石を透過しやすいような形です。
特に凝った構造ではありません。
表面
裏面
仕上げ(研磨)に関しては全体的に金色がくすんだ感じがあります。
これはペンダントトップを使用していた際についた汗や皮脂などが原因で、そのまま金をずっと放置した場合に起こる現象です。
そしてこの現象は金製品だけではなく金メッキや金張りの製品にも起こります。
この変色は専用のクロスで磨くとすぐ綺麗になります。
メッキ製品の場合はメッキが剥げて元の金属の部分が現れますのでご注意ください。
磁石でくっつくかどうかを確認
純金や純プラチナは磁石にはくっつきません。
しかし合金の場合は含まれている金属によってはくっつく場合があります。
今回は100円均一ショップでよく見かけるネオジム磁石を使用します。
ネオジム磁石は磁力が強いので、近づけるとすぐに反応します。
金メッキ製品だとこのようにくっつきます。
ペンダントトップにネオジム磁石を近づけましたが反応はありませんでした。
くっつくかない場合は金の可能性が上がります。
試金石と硝酸を使って確認
ペンダントトップの金属部分を試金石に擦り付けて条痕を確認します。
そして硝酸を条痕に少しだけかけます。
条痕が消える(硝酸によって溶ける)かどうかを確認します。
金やプラチナは条痕が消えませんがメッキや張り製品の場合は消えます。
![](https://roopekirakira.com/wp-content/uploads/2022/08/20220715_011_14K.jpg)
刻印のあった部分(ネックレスを通す輪)を試金石に擦ります。
![](https://roopekirakira.com/wp-content/uploads/2022/08/20220715_012_14K.jpg)
次に本体の部分を擦ります。
これは刻印のある部分と本体が分かれているためです。
別れている場合は両方確認しないといけません。
![](https://roopekirakira.com/wp-content/uploads/2022/08/20220715_013_14K.jpg)
本体とバチカン部分の2ヶ所を擦りました。
![](https://roopekirakira.com/wp-content/uploads/2022/08/20220715_014_14K.jpg)
では条痕に硝酸をつけてみます。
![](https://roopekirakira.com/wp-content/uploads/2022/08/20220715_015_14K.jpg)
硝酸をつける前はこのような感じでした。
金色ですね。これが金色ではない場合は注意が必要です。
![](https://roopekirakira.com/wp-content/uploads/2022/08/20220715_016_14K.jpg)
硝酸をつけるとこの様になりました。
条痕は消えずに残ってますね。
![](https://roopekirakira.com/wp-content/uploads/2022/08/20220715_017_14K.jpg)
そして硝酸を条痕全体に広げるとこの様になりました。
金の粉が硝酸に浮いて流れています。
![](https://roopekirakira.com/wp-content/uploads/2022/08/20220715_018_14K.jpg)
金が硝酸に溶けずに残っているのが確認できます。
注意点 金属の断面を確認する
金メッキや金張りが分厚い場合、試金石と硝酸を使っても条痕が残る場合があります。
![](https://roopekirakira.com/wp-content/uploads/2022/08/20220715_019_14K.jpg)
その場合は金属を切断して断面を確認するとわかりやすいです。
(破壊することになりますので要注意です)
それではペンダントトップの枠を切ります。
断面を確認してみましょう。
特に別の金属をくるんでいる感じではないですね。
では次に断面の部分を試金石に擦り付けます。
うっすらと金の粉がついているのが確認できます。
断面の部分を試金石に擦り付けて硝酸の反応を確認します。
硝酸をかける前
硝酸をかけた後
金の粉が流れているのが確認できます。
この場合は金の可能性がとても上がります。
比重を計測して確認
比重を計測する際はまず石を外す必要があります。
次にペンダントトップの金属部分の重量を計測します。
0.78gですね。
そして水を入れた計量カップを電子計量器に乗せて、計量用の網を入れます。
水の揺れがおさまったら重量をゼロにセットします。
ペンダントトップを水の中に静かに入れます。
水の中に入れた当初は0.05gでしたが、水の揺れが治まるにつれて少しづつ数値が上がっていきました。
![](https://roopekirakira.com/wp-content/uploads/2022/08/20220715_034_14K.png)
最終結果は0.08gでした。
(通常の重さ)0.78g ÷ (水中の重さ)0.08g = 比重値9.75
14金の比重値はだいたい13から14.5ぐらいですので低いように感じます。
しかしペンダントトップの重さが1gを切るほどの軽いものということを考えると、0.01gや0.02gほどの違いでも大きく比重値が変わります。
0.78g ÷ 0.07g = 比重値 11.14
0.78g ÷ 0.06g = 比重値 13
実際に比重を計測する場合は水温が4℃で計測する事や、簡易な比重測定ですのでこの場合はあくまで参考として考えた方が良さそうですね。
結果
①磁石でくっつくかどうか → くっつかない
②硝酸をかけて溶けるか → 溶けない
③比重値はどうか → 軽いので参考程度
この結果から、おそらくこのペンダントトップは金であろうと予想できます。
このペンダントトップは後日専門業者に分析していただき、K14であることが確認できました。
以上「【貴金属の見分け方】①アトK(14K)刻印のペンダントトップ【鑑定】」でした。
最後までお読みいただきありがとうございます。