【宝石の見分け方】鑑別④ 多色性検査【鑑定】

宝石 鑑別

宝石を鑑別する場合に行う検査の一つである多色性検査の方法を解説します。

  • 多色性検査とは
  • 多色性検査に必要な道具
  • 多色性検査のポイント
  • 実際に宝石を二色鏡で確認してみた

多色性検査とは

宝石を見る角度によって色が違って見えることを確認する検査です。

それではまず多色性検査について近山晶先生の宝石宝飾大辞典より引用させていただきます。

引用

たしょくせい(多色性) pleochroism

有色で透明な結晶鉱物を透過光で見ると、その軸方向によって色を異にする現象が見られることがある。
この性質を多色性という。
光学的等方性の結晶では、この性質を示さないが、光学的異方性の結晶では、その方向によって光の進行速度が異なり、色光の選択的吸収にも差が生じ、各々相違した色を示す。
これらを白色自然光で見ても、方向による色の差が識別出来るが、白色の偏光を通して観察すると、偏光の振動方向によって、より異なる色の差が認められる。
一軸性結晶では、主軸と側軸の2つの方向で異なる色を持つ二色性を示す。
二軸性結晶では、前後、左右、上下の3つの軸方向で異なる色を持つ三色性を示す。

にしょくせい [二色性) dichroism

光学的異方性の結晶鉱物が、その軸方向によって色を異にする性質、すなわち多色性のうちで、一軸性結晶が主軸と側軸の方向で、2つの異なった色を示す性質をいう。

さんしょくせい [三色性〕trichroism

光学的異方性の結晶鉱物が、その軸方向によって色を異にする性質、すなわち多色性のうちで、二軸性結晶が、前後、左右、上下の3つの軸方向で、3つの異なる色を示す性質をいう。
ある種の二軸性結晶の中には、ペリドートのように本来三色性にもかかわらず、二色のみが区別して見られる、いわゆる見かけの二色性を示すものもある。

宝石宝飾大辞典新訂第3版 著者 近山晶氏

宝石にはそれぞれ特徴があり、光源によってカラーチェンジするものもあります。
大きく変化しないまでも複屈折の宝石の場合それらを確認することができれば宝石を見分けるヒントになります。

多色性検査に必要な道具

二色鏡を使用します。


それでは二色鏡について近山晶先生の宝石宝飾大辞典より引用させていただきます。

引用
にしょくきょう [二色鏡] dichroscope

ダイクロスコープともいう。円筒の中にカルサイト製のプリズムを入れ、前側に接眼レンズを付けた構造になっている。
先側の四角窓を複屈折の色石に当てて見ると、カルサイトの大きな複屈折現象によって、2つの窓に各々色の異なったのが見られ、多色性の検査に有効な器具である。
カルサイトプリズムの代わりに2枚の直交偏光フィルターを使っても二色鏡を作ることができる。

宝石宝飾大辞典新訂第3版 著者 近山晶氏

二色鏡を覗くと四角い窓のようなものが2個並んでますが、この窓の色の違いを確認することで多色性の有無を調べます。

多色性検査のポイント

宝石に光を当てながら確認する

光が当たっていないと色の変化がわかりません。
光を当てるときは目に直接光が当たらないように注意してください。

宝石を見る方向を変えて確認する


見る角度によっては多色性が確認できない場合があります。
宝石をいろいろな角度から確認することが必要です。

実際に宝石を二色鏡で確認してみた

では実際に二色鏡を使って反応を確認します。

※実際に二色鏡で撮影した画像になりますが、カメラの性能やモニターなどの影響で本来の色と違う場合がございます。あくまでも二色鏡で見ると変化があるんだよという感じで参考としてご覧ください

ルビー
一軸性 二色性: 強 (黄赤:紫赤)

ブルーサファイア(オーストラリア産)
一軸性 二色性: 強 (青色:青緑)

タンザナイト
二軸性 三色性: 強 (青色:淡青:紫色)

エメラルド
一軸性 二色性: 強 (黄緑:青緑)

グリーントルマリン
一軸性 二色性: 強 (緑色:濃緑)

アレキサンドライト
二軸性 三色性: 強 (青緑:黄緑:紫赤)
二軸性 三色性: 強 (緑色:淡黄:褐赤)

多色性検査だけではなく他の検査も行い、それぞれの検査で確認できたことを総合的に判断する事が宝石を見分ける上でとても大切です。

以上「【宝石の見分け方】 鑑別④ 多色性検査 【鑑定】」でした。
最後までお読みいただきありがとうございます。

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