【宝石の見分け方】鑑別⑤ 分光検査【鑑定】

宝石 鑑別

宝石を鑑別する場合に行う検査の一つである分光検査の方法を解説します。

  • 分光検査とは
  • 分光検査に必要な道具
  • 実際に宝石を分光器で確認してみた

分光検査とは

宝石の中を通過する光を調べる検査です。

それではまず分光検査について近山晶先生の宝石宝飾大辞典より引用させていただきます。

引用

ぶんこうけんさ(分光検査) test of spectroscope

宝石鑑別における重要なテストの1つで、主に直視分光器によって宝石の分光特性を検査し、その特徴的なスペクトルの検知によって鑑別を行う方法である。
一見同色に見えても、宝石の種類によりその着色成分には相違があり、その成分によっては特有の吸収性を示すことがしはしばある。
特にルビー、エメラルド、アレキサンドライト、レッ ド・スピネル、ジェダイト(緑色)に鮮やかな色を与えるクロム分、赤色ガーネット、サファイア類、ペリドートなど多くの宝石の着色成分である鉄分、あるいはジルコンにおけるウラン分、アパタイトにおけるディディミウム分などは特徴的な吸収ラインないし吸収バンドを示すので、鑑別におけるディディミウム分などは特徴的な吸収ラインないし吸収バンドを示すので、鑑別における極めて有効な手段となる。
宝石の分光検査には、時により透過法及び反射法のいずれかが選ばれるので、両方の照明が選択出来る専用の照明装置を備えた分光器ユニットが製作されている。

ぶんこうき(分光器〕spectroscope

光を分散して波長の順序に配列したスペクトルを得る装置で、スペクトロスコープともいう。
光を分散させるために、一般にプリズムまたは回折格子が用いられる。
最も簡単な装置は直視分光器である。
英語のspectroscopeは、スペクトルを肉眼で観察するものをいうが、日本語で分光器という時は、広い意味をもち、スペクトルを写真で記録する分光写真器も、分光計も含まれる。
特殊な用途には、干渉計を組み合わせた干渉分光器、短波長の紫外線には真 空分光器、長波長の赤外線には赤外線分光器が用いられる。

宝石宝飾大辞典新訂第3版 著者 近山晶氏

宝石にはそれぞれ特性があり、一部の光を吸収する場合や変化する場合あります。
それらを確認することでその宝石が何なのかを特定していく事ができます。

分光検査に必要な道具

分光検査を行う場合このような宝石鑑別用の分光器(スペクトルスコープ)を使用いたします。

接眼部分から見ると虹色のカラーとメモリが見えます。

分光結果をこのような用紙(スペクトルシート)に記入します。

宝石によって色の部分に特有の吸収ラインが入ります。それらを記述して確認します。

実際に宝石を分光器で確認してみた

では実際に分光器を使って反応を確認します。

※分光器から見た写真は撮影が難しかったため載せておりません。

ルビー
クロムライン(694.2 692.8nm)と青色部分に3本の吸収ラインが確認できます。

ブルーサファイア
ブルーサファイアはFe含有による吸収バンドが確認できます。(471 460 450 nm)

エメラルド
クロムライン(683 680nm)と637nmに吸収ラインが確認できます。

見た目は同じ色に見えても宝石によって成分は異なります。
その性質によって独特の吸収性を示すことがあります。

この検査は宝石特有の性質を確認できる検査ですが、確認作業が難しいため専門の鑑別機関は行いますが買取店などの現場で使うことはまずありません。

分光検査だけではなく他の検査も行い結果を総合的に確認してその宝石が何かを判定します。

以上「【宝石の見分け方】鑑別⑤ 分光検査【鑑定】」でした。
最後までお読みいただきありがとうございます。

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