【宝石の見分け方】鑑別② 蛍光検査【鑑定】

宝石 鑑別

宝石を鑑別する場合に行う基本的な検査の一つである蛍光検査の方法を解説します。

  • 蛍光検査とは
  • 蛍光検査に必要な道具
  • 蛍光検査 3つのポイント
  • 実際に紫外線を宝石に当ててみた

蛍光検査とは

蛍光検査とはX線や紫外線を照射して反応を確認する検査です。

蛍光って?と思われた方が多いと思います。
一番身近なものですとブラックライトを白いものに当てると青白く発光することを想像するとわかりやすいかもしれません。
宝石は種類によって蛍光反応が違う場合があります。

ではまず近山晶先生の宝石宝飾大辞典より蛍光および蛍光検査について引用させていただきます。

引用

けいこう 〔蛍光〕fluorescence

物質にX線や紫外線など波長の短い光線を当てると、物質によっては放射ルミネッセンスの結果、その第1次光とは違った色の第2次光を出すものがある。
このような光を蛍光という。
蛍光は光の照射をやめるとすぐなくなるが、物質によっては光の照射をやめた後も光を発しているもの(残光という)がある。
これを燐光という。
宝石のある種のものは特徴ある蛍光を示すので、紫外線検査は宝石鑑別でも重要なテストの1つである。

けいこうけんさ[蛍光検査) fluorescence test

宝石・鉱物の蛍光(燐光を含む)の現象の有無及びその発光色の特徴によって、各々の識別をする方法である。
励起のエネルギーとしては、X線、紫外線が主として用いられるが、X線はその光源装置が高価で、しかもその操作には放射線取扱い上の技術を要するため、宝石鑑別にはもっぱら、簡便有効な紫外線検査が用いられている。

宝石宝飾大辞典新訂第3版 著者 近山晶氏

蛍光現象や発光を確認することができれば宝石を見分けるヒントになります。

蛍光検査に必要な道具

引用にもありますように、X線の機械は高額のためほとんどの貴金属買取店やリサイクルショップにはありません。
一般的には紫外線ライトを使用しての検査が行われております。
紫外線には大まかに分けると長波と短波の2種類があります。長波・短波の波長の違いで蛍光反応が違う宝石もあります。

それではふたたび近山晶先生の宝石宝飾大辞典より紫外線および紫外線検査について引用させていただきます。

引用

しがいせん [紫外線〕ultraviolet rays

可視光線よりも波長が短く、X線より波長の長い光の範囲をいう。
紫色波長より外側のため紫外線という。
非可視光線で、はっきりした波長の限界はないが、おおむね380nmから数nm(1nm=10m) の範囲内の波長の光を指す。
波長の範囲で、近紫外線、遠紫外線などと分ける分類もあるが、宝石鑑別においては波長の範囲で分けて、380nm~300nmを長波紫外線といい、300nm~ 200nmを短波紫外線という。
両波の各々の紫外線ラ イトを用いて宝石の蛍光検査が行われる。
紫外線は蛍光作用 (ルミネッセンス)の他に、強い化学反応を示し、また殺菌作用も持っている。

しがいせんけんさ [紫外線検査〕 ultraviolet test

蛍光検査のうちで、最も一般的に用いられる長波紫外線(365nm)と短波紫外線(253.6nm)による蛍光、時に燐光の発光現象並びに発光色の特徴によって識別を行う方法で、宝石鑑別における有効な一手段として用いられている方法。
この目的のための光源、すなわち紫外線ライトは鑑別専用のものが製造されている。

宝石宝飾大辞典新訂第3版 著者 近山晶氏

長波紫外線ライトと紫外線除菌ライト
波長が365nmの長波紫外線LEDペンライトです。
短波紫外線はこのようなペンライト形式のものは販売されておりませんので、紫外線除菌ライトで代用することができます。


宝石鑑別用の紫外線蛍光器
長波と短波両方の紫外線を照射することができます。

蛍光検査 3つのポイント

一般的には宝石鑑別用の紫外線蛍光器ではなく紫外線ライト(ブラックライト)を使うことが多いです。
紫外線ライトを使う際のポイントを解説します。

宝石の下は黒色の布やトレーを置いて照射する

紫外線を照射する際は宝石の下が白色だと変化がわかりにくくなります。
黒地の布やトレーなどを使用することをお勧めします。

手で囲んでできるだけ暗くする

周りが明るいと変化がわかりにくくなります。暗い状態を作ることが大切です。
箱に穴をあけて宝石を入れ、暗くなった状態で見るのもアリですね。

目に直接当てるとキケン

これは紫外線に限らずペンライトやLEDライトで宝石を見る際は目に直接当たらないように注意してください。

実際に宝石に紫外線を当ててみた

では実際に宝石鑑別用の紫外線蛍光器を使用して反応を確認します。

ダイヤモンドとキュービックジルコニア


※すべての天然ダイヤモンドに蛍光反応があるわけではありません。

天然ルビーと天然ガーネット


ルビーは天然・合成ともに赤色蛍光反応を示します。
ガーネットは無反応です。

天然ブルーサファイアと合成ブルースピネル


合成ブルースピネルの場合長波紫外線で赤色・短波紫外線で青色白濁蛍光が見られます。

合成アレキサンドライト


合成アレキサンドライトの場合長波・短波紫外線では強い赤色蛍光を示す場合が多いです。

蛍光検査だけではなく他の鑑別検査も行い、それぞれの検査で確認できた事を総合的に判断する事が宝石を見分ける上でとても大切です。

解説は以上となります。
最後までご覧いただきありがとうございます。

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