ヤフオクで落札した商品が本物かニセモノかを調べてみた ①鼈甲(べっこう)べっ甲の帯留め【鑑定】
ヤフオクで落札した商品が本物かニセモノかを実際に調べてみたいと思います。
第1回目は鼈甲(べっこう)べっ甲の帯留めです。
- 判定する基準
- ルーペと紫外線ライトでチェック
- 金具部分をチェック
- 鑑定結果
判定する基準
ヤフオクで落札した商品はこちらです。
題名: 留め具 K18 鼈甲 べっ甲 帯留め カラーストーン付 総重量13.5g 現状品
ヤフオクで本物かニセモノかを判定すべきポイントとしては商品の表記です。
①題名が正しいかどうか
ヤフオクの出品者は少しでも検索に引っかかるように題名にキーワードを入れまくる傾向があります。
そこで今回の商品の題名をキーワードで分割してみると
「留め具 K18」「鼈甲 べっ甲」「帯留め」「カラーストーン付」「総重量13.5g」「現状品」
大まかにこのように分かれます。
特に大事なキーワードは「留め具 K18」「鼈甲 べっ甲」ですね。
真ん中の赤い石については「カラーストーン付」というキーワードなので、何の宝石かはわからないという事です。
「帯留め」「現状品」については画像を見ればわかりますのでOK。
「総重量13.5g」という事ですが、金具部分だけが何グラムなのかはこの商品はわかりませんのでこれは特に問題ではありません。
これらのキーワードに対して商品詳細部を読み、このキーワードに対して説明がされているかどうかがポイントです。
説明がない場合はこのキーワードに対して実際の商品があっているかどうかで本物かニセモノかの判定を行います。
②キーワードが画像に写っているかどうか
キーワードに対して画像があっているかどうかがポイントです。
この商品の場合は
「留め具 K18」「鼈甲 べっ甲」
上記のキーワードが画像にあるかどうかです。
「鼈甲 べっ甲」
べっ甲はパッと見ただけではわかりませんので掲載されている画像だけでは判断できません。
「留め具 K18」
刻印のようなものはあります。
経年によるスレなのか、刻印が打ちにくい場所なのでずれたのか画像だけではわかりにくいですね。
③説明詳細にキーワードに対しての説明があるかどうか
この商品の場合は
「留め具 K18」「鼈甲 べっ甲」
上記のキーワードに対してどう説明があるかがポイントです。
商品説明部分です。
べっ甲に関する記載はありませんね。多分わからないのだと思います。
留め金具については「K18であろう刻印があります」と書かれております。
そして真ん中の石も「当方素人故にわかりかねております。」とあります。
最後に「ノークレームノーリターンでお願いします。」
この商品説明を翻訳すると
私は素人なのでよくわからないけどK18っぽい刻印はあるし、見た感じ鼈甲ぽいし赤色の石も入ってるので誰か買いませんか?ただし素人なので文句も返品もやめてね♪
みたいな感じですね。
上記のような表記の場合は、素人でよくわからないと記されてますし、ノークレームノーリターンなので違う場合でも返品やクレームは難しいです。
ただ、「試金はございました」という部分で素人ではないと思います。
おそらく出品者は貴金属やブランドなどの買取屋さんでしょうね。
文章のニュアンスで何となく気持ちを感じ取ることができます。
ルーペと紫外線ライトでチェック
まずはルーペを使用して拡大検査と長波紫外線ライトを使用して蛍光検査を行います。
蛍光検査
長波紫外線ライトを照射して反応を確認します。
本体には青白色の蛍光反応が見られます。
真ん中についている赤色の石も真っ赤に反応しております。
拡大検査
倍率が10倍のルーペを使用して確認します。
金具部分にK18っぽい刻印が確認できます。
本体はべっ甲特有の層が確認できませんでした。
LEDライトを透過して本体内部を確認しましたが、べっ甲に見られる球体は確認できませんでした。
赤い石にはインクルージョン(内包物)は確認できず、カーブラインが確認できました。
【宝石の見分け方】 鑑別① 拡大検査 【鑑定】
宝石を見分ける際に必要な検査の一つである拡大方法を解説します。宝石の拡大検査は基本的に倍率が10倍のルーペを使用して確認します。宝石によって内包物(インクルージョン)や特徴がありますのでそれらを確認することができれば宝石を見分けるヒントになります。拡大検査に必要な道具やポイントを解説します。
【宝石の見分け方】鑑別② 蛍光検査【鑑定】
宝石を見分ける際に必要な検査の一つである蛍光検査の方法を解説します。宝石や鉱物に紫外線を照射してその反応を確認します。宝石は種類によって蛍光反応が違う場合があります。蛍光現象や発光を確認することができれば宝石を見分けるヒントになります。蛍光検査に必要な道具やポイントを解説します。
金属部分をチェック
今度は金具の部分が貴金属かどうかを確認します。
磁石・試金石・比重のチェックを行うことで貴金属かどうかは判定できます。
磁石にくっつくかチェック
ネオジム磁石を近づけて確認したところ、磁石にはくっつきませんでした。
試金石によるチェック
石を止める金具と帯を通す金具を本体から外して確認します。
両方とも硝酸には溶けませんでした。
比重によるチェック
静水法を利用してこの金具の比重を確認します。
この金具の重さは2.33gです。
水中での重さは0.15gでした。
重量 2.33g ÷ 水中重量 0.15g = 15.53…となります。
K18金の比重は15前後ですので上記の結果から、金具の部分はK18金といえます。
【貴金属の見分け方】④磁石でくっつくかチェック 【鑑定】
貴金属か金メッキや金張りかどうかを磁石で見分けるポイントを解説します。貴金属は磁石にくっつかない・メッキや金張りは磁石にくっつきやすいという特性があります。注意点としては磁石で確認する際はパソコンやハードディスクなどが無いところで使用してください。
【貴金属の見分け方】⑥試金石と硝酸でチェック 【鑑定】
試金石検査は那智黒石などの硬い石に金や銀などをこすりつけて条痕を確認する方法です。条痕に硝酸をたらして確認する方法は反応がすぐにわかるので、貴金属の買取店や質屋さんでもよく行われている方法です。
【貴金属の見分け方】⑤比重値をチェック 【鑑定】
貴金属か金メッキや金張りかどうかを比重値で見分けるポイントを解説します。まず貴金属やメッキ製品に使われる素材の主な比重値を確認します。静水法の場合、比重値はジュエリーの形状や合金の割合・水温で変化します。3つの注意点を確認して実際に金の比重値を測定します。
鑑定結果
この帯留めはべっ甲ではありませんが、石は合成ルビーで金具部分はK18金でした。
べっ甲ではなかったので本物とは言えませんが、本鼈甲とも書いてないので何とも言えないグレーです。
あえてヤフオクの題名をつけるなら「合成ルビー入り K18留め金具 鼈甲風 帯留め」みたいなかんじですかね。
金額的な価値
それでは金額的な価値を考えてみましょう。
本日の金相場(2021年7月2日)
純金(K24インゴット)1gの相場は7,008円です。
K18は75%が金ですので、7,008円×0.75 =5,256円
今回の金具部分の重さは2.33gですので 5,256円×2.33g = 12,246円
本体はべっ甲ではなく、セッティングされている石も合成のルビーのためほとんど金額的には価値はありませんが、アクセサリーとしては100円~500円ぐらいの価値はあると思います。
というわけで鑑定額としては12,500円前後ですね。
以上「ヤフオクで落札した商品が本物かニセモノかを調べてみた ①鼈甲(べっこう)べっ甲の帯留め」でした。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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